
最終章 先駆者の道④
あゆみは爽やかな春の風が吹き抜ける自宅の庭でくつろいでいた。あゆみは29歳に
して異例の速さで再生医療の専門医としてすでに山仲教授の右腕になっていた。
もちろんドクターPOSTの面々と共に。あゆみにはずっと気になっていることがあった。
苦しい時にいつもアドバイスをくれたアノヨンの存在である。
全てが順調に事が運び夢枕にアノヨンが出て来ることが無くなってしまった。あゆみも医者として走り続けるあまり
忘れていたのかもしれない・・・。でも確かにアノヨンの存在があったからこそ今の自分がある事は間違いない・・・。
そう思うと無性に会いたくなっていた・・・。その日から何度も夜問いかけてもアノヨンからの返事は無く・・・。
諦めかけていた・・・。
一方医療リゾートホテルは来月には完成の予定ですでにスタッフや看護師遠方からの医者などは次々と寮に移動を始めて
いた。そして、スタッフの研修もスタートしていた。プレオープンも近づき何もかも順調だった。
宝神殿にいたっては最強のパワースポットとマスコミが騒ぎ立てまた実際に宝くじが当たった参拝者が続出とあって
大勢の人で賑わっていた。
そして、いよいよオープン式典を明日に控えあゆみたちはすでに医療リゾートホテルに
プレオープンの招待客として前日より宿泊していた。その夜、あゆみが眠りにつこうと
ベッドに潜り込むと「あゆみはん~久しぶりでんな~ほんまは出てこられへんのやけど
・・・どうしても伝えなあかんねん!式典が終わったら又会いに来るさかい・・・」と
言い残してあゆみが話しかける間もなくアノヨンの気配が消えていた・・・。あゆみは久しぶりのアノヨンとの再会より
意味深な言葉が気になったが、それよりアノヨンに一瞬でも気配を感じれた喜びの方が上回っていた。
いよいよオープンの日多くの関係者やマスコミそして招待客・・・。 もちろん浩吉やカバン屋20名もいた。
浩一郎に美智子。蜂須賀美樹に美咲.ドクターPOSTの面々やメーテル女史や大友女史。そしてもちろんあゆみ!
まるで世界中が注目するアカデミー賞の授賞式の様な病院のオープンセレモニーとは思えない豪華さだった・・・。
更には豪華な食事・・・。立食ではあったがどれも至高の料理が用意されていた。
訪れた招待客の中には穂波西高のあゆみの同窓生もいた。美味しいお酒に豪華な食事・・・みんな祝杯をあげ盛り上がる
なか注目は医療リゾートホテルの名前が未だに発表されていなかった。大きなカーテンで包まれたパネルが関係者の
テープカットと同時に開かれることになっていた。いよいよその時を迎えようとしていた。
最初のきっかけを作った浩吉が音頭を取ることに・・・。ワインを片手に浩吉が「みんな~ありがとう~乾杯~」と
同時にテープカット!大きなカーテン現れた名前“ PIONEER CARE RESORT AYUMI”だった・・・。
その瞬間あゆみをマスコミがフォーカス!そしてマイクを向けられるとあゆみは堂々と
「あゆみには歩み続けるという意味があります・・・私は皆様と共に歩み続けます。
We will continue to walk to together!」と流暢な英語も交えて応えた!
短いコメントだったが皆が拍手喝采で応えた!あゆみは自分の名前が入っていることを
知らされてなかったが恥ずかしさより更に使命感で燃えていた。その時会場で悲鳴が・・・
「誰か!倒れたわよ!」