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第五章 ​絆 ③

そこには浩一郎と石田社長の姿が・・・。あゆみが東京から呼び寄せたらしい。

「待ってました~いらっしゃい」とあゆみ。浩一郎も石田も笑顔は無くただただ仕方なく来た様子。実は別府を計画中

にアノヨンから浩一郎と石田を参加させるようにあゆみが言われていたのだ。

今後の豊臣家にとって必要なメンバーで今いるドクターPOSTと山本看助らの医療チームとそれを支えるべく浩吉・

浩一郎・石田の錬金術チームが揃って初めて将来の理想とする施設ができると思われるからだ。

浩吉はご機嫌だった!実の息子浩一郎に加え石田も来てくれたことに例によって例の如くうれし涙が溢れていた。

「石田!仕事は上手くいってるのか?カイ(アングラの宝石の展示会)はもうやってないのか?」と浩吉。

「ええ・・まあ・・・豊臣社長が倒れられてから1度も・・・メーテル学長も裏金問題でアメリカに帰ってしまって・・・

あれやこれやで資産家のみなさん自重してますよ・・・」と石田。「それより豊臣社長!国税に入られて大変だった

でしょう?」。「えぇ~そんなことがあったのかいな!」と「美智子!国税入った?」と浩吉。

「パパ~心配しないで私が1億円くらいで被害を止めたわ!」とあゆみ。「1億の何倍もあったはずや~どうした?」と

浩吉。「そうパパはたくさん残してくれてたわね~だから国税が入る前に石田社長と浩一郎兄さんに頼んで全て現金に

換えてもらったの!」とあゆみ。「なんで国税が入る事わかった?」と浩吉。「神のお告げよ!パパ!私達は

守られてるの!」とあゆみ。「ああ~そうだな・・・」とあまり疑うことを浩吉はしなかった。「あゆちゃん!

大きな金庫のコンクリートの下はどうした?」と浩吉が不思議なことを言い出した。あゆみはアノヨンから聞かされて

ない情報だ。「なになに?コンクリートの下?まさか死体が隠されているとか?」とあゆみ。

「バカは休み休みにしなさい!」と普段優しい浩吉が珍しく厳しい口調で言い放った。「私の宝石のコレクションが

隠してあるんだ・・・いつかおまえたち二人には話すつもりだったけど・・・

もう打ち明けないとね・・・宝石の商社に勤めてから海外に買い付けに行くと必ず

袖の下(賄賂)をくれるんだよ・・・宝石は小さいしどこにでもしまえるし

それを持ち帰っては貯めていってね・・・それ以外にもパパ選りすぐりのコレクションが

たくさん眠らせているんだ“かい”(アングラの宝石の展示会)に出せば高値がつくで

あろう石ばかり・・・あゆちゃんが成人したら打ち明けようと思っていたけど、パパもまさか倒れるなんて夢にも

思ってなかったから・・・でもみんなの支えで社会復帰出来そうだし、良い機会だからね。退院したらコレクションを

掘り出してどうするかみんなで考えよう!みんな今日は集まってくれてありがとう!さあさあ盛り上がろう!

あゆちゃんお願いね~」とウルウルの浩吉。「さあ皆さん今日は父のためにありがとうございます!乾杯!」と少し

夕食には早かったが宴会が始まった。極上のステーキ・フカヒレのスープ・フォアグラやキァビアにトリュフ・・・

フランス料理やイタリアン・・・刺身やお寿司に鰻とありとあらゆる贅を尽くした料理。

すべてオーダーバイキングである。アルコールも世界の地ビールにシャンパンにワイン・

カクテルに地酒と全て揃っていた。ノンアルコールのカクテルに一流シェフが作る

デザートと・・・さすが花の井ホテルが誇る“エンペラー”酒宴は続きみんな紳士的に

時が過ぎる中・美智子は醜態をさらしていた・・・佐々木と宮本に美智子は酔って絡んでいた

「佐々木君のタイプはどうなのよ?なんでまだ結婚しないのよ!それだけのイケメンだったら

女の子黙ってないでしょう?それとも女の子に興味ないとか~宮本君はどうなのよ!」と

またまた育ちの悪さが露呈する。そこにあゆみが「ママ~いい加減にしてよ~黙っていれば魅力的なのに~

酔ったら品がないわ~情けない!ママの子で恥ずかしい」とノンアルのあゆみが真面目なコメント。

そこへ「わしはまだまだ酔っとらん!若い衆酌してくれんね!」とともみが杯を差し出した。酒宴は穏やかで

ゴージャスに時が過ぎていた。そこに「あゆみはん~あゆみはん~」と聞き覚えのある声がした・・・

アノヨンだ・・・。

        

                      

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