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第五章 ​絆 ④

あゆみには花の井ホテルの“エンペラー”に響き渡るアノヨンの声が

ハッキリ聞こえた・・・。「あゆみはん~宴の最中に悪いとは思ったんやけどな~

受験勉強と平行して進めとかなあかん事あるさかい・・・今のまましっかり勉強続ければ

筑豊大学病院医学部にわての力を借りることなく合格できるで~ただ大学卒業後の行き先

を今から仕込まなあかんのや!」するとあゆみが「なんで今からなの?」するとアノヨンが「大きな病院立ち上げるで~

そのためには今から仕込まな間に合わないんや!お金・建設・許可・急がなあかんあゆみはんが来年医学部合格

したとしてそれから医師国家試験を受けれるのが6年後それから2年間の卒後臨床研修が必要や!ざっと8年後には受け入れ

先を確保するで~ここに居るメンバー全員や!重要なのは莫大な資金や!それは浩吉はんの地下に眠ってる宝石を上手く

利用するんや!もちろん裏で売り抜けても2~30億位にしかならへんやろ!そこであゆみはんここからが

1番重要なところや・・・あゆみはんが目指していた青山国際メーテル学院大学の学長はん裏金問題で

週刊秋文に叩かれて失脚したやろ!あれ事務長が勝手にやったことでメーテル女史はオーストラリアでは

桁違いな財閥で莫大な金持ってますねん!金持ちが最後に望むのは名誉欲ですねん!それを上手くくすぐるんや~

失脚した今がチャンスなんや!研究費を出し渋る日本政府に代わって再生医療やリハビリテーションなど最先端の

医療技術や研究が出来る総合病院を立ち上げるで~わての言う通りやればきっと上手くいくはずや!」するとあゆみが

あまりにも話が広大過ぎてピンと来なかったがアノヨンの言う通りする事は父浩吉が倒れてから心に決めていた。

「話が広大過ぎてまだ理解出来ないけどやってみるわ・・・」とあゆみ。宴も盛り上がり皆出来上がっていた。

先のことは誰もわからない。でもあゆみにとっては今一番信頼出来る存在にアノヨンは成っていた。 

「あゆちゃん!さっきから何モゴモゴ言ってるのよ!私は酔ってないけど・・・

みなさんそろそろ休まれた方が」と美智子はそう言いながらロココ調のソファーに

寝入ってしまった・・・。「さあ、みなさん今日は楽しんでいただかれましたか?

露天風呂も備え付けてありますしマッサージなどくつろがれて頂ければ幸いです・・・」と

あゆみが美智子に代わってあいさつをする・・・。

「母美智子が醜態をみせたことお詫びいたします」すると

「そんなことないよ!変にかしこまられるより楽しまさせてもらいました・・・ありがとう!」と佐々木。

「そうだよ!みんな最高に骨休め出来たし最高の接待に感謝してるよ・・・」と宮本。「お父さんが思った以上

がんばられてここまで回復されたのも家族の温かい支えがあったからだと思いますよ」と武田。

それぞれに感謝の意を示した後「みんな支えてくれてありがとう!」と顔が涙でクシャクシャになった浩吉。

「こんな息子ばってんこれからも頼んどきますばい!」とともみ。

「私は普段東京にいてなかなか皆様とお会いできませんがいい加減な生き方をしてきた父ですが今後とも

よろしくお願いいたします。」と浩一郎も泣いていた・・・。そして宴は終わった。

あゆみがロココ調の天蓋付きのベッドに入るとまた

「あゆみはん~まだまだやることは山積みやで~そうや大分に大友宗子

という資産家がいて山林を手放したがっているでなんせ金持ちは名誉欲強いか

ケチかどっちかやからな~わてもう疲れたさかい今日は行くで~」と。

そしていつものように気配が消えていた・・・。

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