第五章 絆 ⑤
浩吉の退院が決まった・・・あゆみの誕生日12月11日。
当日は寒かったが透き通るような空!快晴だ!予定より1年近く早い退院。
まだ車いすは手放せないが手引きすれば何とか歩けるまでになっていた。
ドクターPOSTの面々も自宅までYORISOIの山本も福祉車両で迎えに・・・
そして、約1年ぶりの自宅へ・・・。「パパ~新しいベッド!福祉用具のクローバーさんに最高のやつ頼んだし
車いすも4点杖に歩行器もあるし何もかもバッチリ!これからはあゆみがパパの介護兼リハビリやるわパパ!」
「あゆちゃん!ありがとう!ありがとう!」と例によって例のごとく泣きじゃくる。佐々木も2年間を予定していたが、
社会復帰したい浩吉の前向きな力ともちろん介護保険外の綿密なリハビリが功を奏して本当のリハビリテーション
(社会復帰)に成功したのである。更にメタボだった身体も規則正しい生活に加えてアルコール無しの生活で体型も
スッキリ痩せて健康に。見た目も10才は若返った!更に更に今回の出来事で命の尊さや人への感謝の気持ちも・・・。
私利私欲の過去を全て洗い流しこれからはあゆみと共に病気で苦しんでいる方々を救いたいと思うように・・・。
すると佐々木が「我々は2年分のリハビリ料金をいただいております。あと1年分7,777万円を返却させていた
だきますね・・・」すると間髪を入れずあゆみが「何言ってるの?佐々木さん!こんなに早く復帰できたのは
ドクターPOSTの面々のおかげ!気持ちでは追加したいくらい感謝の気持ちでいっぱいなのよ!」と。
「まあまあ あゆちゃん、せっかく佐々木さんも返すって言って下さっているのだからありがたくいただ
いて・・・ 」と美智子が言い始めると・・・。あゆみがかき消すかのように「ママ!ママには感謝する
気持ちの欠片も無いの!」と。すると「もちろん感謝はしているわよ!でもそれとこれとは・・」と
美智子。「あゆちゃんの言う通り佐々木さん達は私の命の恩人・・・あゆちゃんがいうとおり足らないくらい
だよ・・・1年前は歩くことも話す事も出来なかった私をわずか1年でここまでしてくれたんじゃないか・・・
そうだ!君たちに寄付しよう!」と浩吉。「でも・・・」と美智子。「ママ~生きたお金なのよ!私達みたいに
飲み食いや贅沢品に使わないわ!佐々木さん達は病気で苦しんでいる方々のためにきっと使ってくれるわ!
ねっ佐々木さん!」とあゆみ。「ええ・・まあ・・・間違いなく!」と"最後の間違いなく"は力強く応えた。
「佐々木君!あゆみがもし医者に成れたらその時はよろしく頼むよ!きっとあゆみも佐々木君たちと同じ志
を持って頑張ると思うから」と浩吉。「もちろんですよ!あゆみさんだったら大歓迎ですよ!」
と明るく佐々木が応えるとドクターPOSTの面々も大きくうなずいた。
「じゃあ!決まり!決まり!私も忙しいわ!受験勉強に介護にリハビリ!豊臣家の将来を
担って頑張るぞ~。ママ~お金はまたパパが稼いでくれるわよ!それよりパパの介護手伝ってよ~豊臣家いや
ママがこれ以上の生活望むなら頑張るのは今でしょ!」とあゆみ。「ハイ・・・ハイ・・・」と美智子。
「ママ~ハイは1回っていつもあゆに言ってるよ~お気を付けて~」とあゆみ。「は~い・・・」
と美智子は仕方なく応える。「パパもリハビリ続けながら来年から仕事復帰するぞ~」と浩吉。
そして、去年の悪夢から豊臣家は解放された。あゆみはドクターPOSTの面々との別れは辛かったが
泣いていたのは浩吉ただ一人。あゆみが泣かなかったのは医者になって必ずまたみんなと同じステージに
立つ事を確信していたからである。
そしてその夜あゆみが受験勉強をしていると
「あゆみはん~振り向いたらアカンで~」とアノヨンだ。