第六章 夢の架け橋 ②
透き通るような朝を迎えた!年が明けた!そう今日は1月1日正月である・・・。
浩吉は掘り出した宝石の仕分けを一人黙々とやっていた。「あゆちゃん!そのダイヤの横には
エメラルドを置いてくれ・・・」と浩吉。「パパは宝石見てる時が一番活き活きしてるわね~最高のリハビリじゃない?
麻痺の右手がそんなに良く動いてもう心配なさそうね」とあゆみ。「メーテル女史が来るまでに気を引く
演出が必要なんだよ!あゆちゃんも協力してよ。」と浩吉。「私はもうすぐ試験なのよ!パパは見かけによらず
センスあるから大丈夫・・・その代わりアイデアは任せて!メーテルさんが納得するアイデア
考えるから心配しないで!パパ」とあゆみ。「よしよし!パパのセンスか・・・」と浩吉は
1つずつ丁寧に部屋のひな壇に展示をする・・・。
そして1月の半ば浩吉の病気以来・・・メーテル女史との対面が実現した。
石田が浩吉の自宅までメーテル女史を連れて来たのだ。「ハローヒロ!ヒサシブリ!」と軽いハグ・・・。
浩吉例によって例のごとく涙・涙「ロングタイムノーシー!ウエルカムマイホーム!ベリーハッピー!」と浩吉。
その後すぐ浩吉の宝石のコレクションをメーテルに披露・・・。超資産家のメーテル女史でも見たことの
無い宝石ばかり「ワオー!グッドジョブ」の連発だった。そして・・・浩吉はおもむろに本題の病院開設に向けての
シナリオを話し出した。そしてこのコレクションを差し出す代わりに病院開設の資金提供をストレートに
ぶつけてみた!浩吉は退院するまでドクターPOSTの面々と理想の病院の話を詳しくしていた。
浩吉はバブル期に不動産の事にも精通していた。だから理想の病院にいくらかかるかもある程度把握していた。
病棟地下1階地上12階を2棟と研究棟及びスタッフ寮1棟・ 患者様家族棟(リゾートホテル)
及びリハビリ棟1棟計4棟. 1棟約500億円4棟で2,000億円
それに医療機器等500億予備費が100億から200億円とスラスラと青写真を話した・・・。
浩吉はメーテル女史の資産がどれくらいあるかを長い付き合いで熟知していた。
日本円で1兆円はくだらない資産だ。
メーテル女史は宝石をじっと見つめてしばらく沈黙が続く・・・そして・・・
「OK!レッツ ドゥ イット!」(わかりました!やりましょう!)とあっさりと承諾した。
浩吉はあゆみのためでもあったが自分みたいに苦しむ人が優れたリハビリや優れた再生医療の治療を多くの
人に体感してもらえる病院更には患者の家族が面会に来たくなる理想の病院いや医療リゾートホテルを建設
したかった。そして実現へまた1歩近づいたのである。そしてメーテル女史は宝石コレクションをどうするかは
後日考える趣旨を浩吉に告げると石田のエスコートにて東京まで・・・そしてメーテルは帝都ホテルへ・・・。
その夜・・・浩吉は寝付けなかった。突然ぶつけた病院いや医療リゾートホテルの話・・・いとも簡単に承諾したことに
狐につままれたような気持ちだった。付き合いも長いしお互いのことをよく知る仲ではあるがこんなビッグ
プロジェクトをいとも簡単に承諾・・・。メーテルはいつもあゆみの事を気にかけてくれてはいた。
まるで娘のように気にかけてくれていた。でもあゆみが目指している医者の事も宝石のコレクションの事も
初めて話をしたのに・・・。そんなに簡単なことでは無い・・・。メーテル女史には子供がいない・・・
確か結婚歴も無い・・・一人娘で資産を持て余していたのも事実なのかも・・・。
グルグル頭の中でいろんなことを考えてしまう・・・。
眠れない・・・
寝なければと思えば思うほど寝れなくなってしまった・・・
やがて夜が白々と明けてきたのである・・・。