第六章 夢の架け橋 ③
突き抜けるような青空!早春!いよいよあゆみにとっての挑戦の日がやって来た・・・。大学入試である。
あゆみは緊張していたが・・・アノヨンのアドバイスもあってか・・・不思議と自信があった。
父浩吉の見舞いで通い詰めたお馴染みの筑豊大学病院敷地内での教室・・・。
「私なら絶対できる!」とあゆみは自分自身に言い聞かせる。
答案用紙と問題用紙が配られる・・・。どこかで聞いたAIのような声が響く
「始めてください!」あゆみは問題用紙をめくる・・・。
「あっ知ってる問題!」あゆみはスラスラと問題を解いていく。
アノヨンの予想した問題が次々出てくる。「これって大丈夫?」と自問自答しながらあゆみは問題を解いていく。
そして最後に“医者を目指す理由と夢について”と言う問いに対して父が突然病で倒れた事やたくさんの苦しむ
患者様に寄り添い救える医者になりたいこと等、医者を目指す趣旨を切々と綴った。そして試験は終わった・・・。
あゆみは思った・・・。父浩吉が倒れた事で豊臣家の絆が深まり、毎日食べ物のことばかり考えていた自分・・・
漠然と海外に行きたいと思っていた自分・・・目的意識も180度変わりあゆみ自身成長した気がしていた。
合格発表の日・・・雨だった・・・「パパ!ママ!私一人で行ってくる!」とあゆみ。
美智子が「あゆちゃん!一緒に行くわよ!」と・・・あゆみが「今日は一人で行きたい!一人で行く!」と強い口調で
言い放った。雨の中傘もささずに受験番号を握りしめ玄関を飛び出し自転車に飛び乗る!「あゆちゃん!気をつけて!」 と浩吉。「0926・・・0926・・・」あゆみは自分の番号を探す・・・。
そして・・・「あった!あった!やった!当たった!当たった!」と宝くじに当たったような コメントに回りの人達があゆみに注目!「あっ皆様のおかげで合格できました!」ともう訳の わからないコメント。
何度も何度も確認してあゆみは雨の中自転車で自宅に向かう。 びしょ濡れのあゆみが勢いよく玄関を開けて
「パパ~ママ~合格!合格!合格したよ~」すると杖をついて待っていた
浩吉が例によって例のごとく泣きじゃくりながら「よく・・やった・・ね・・おめ・・で・・とう」と杖を投げて
あゆみを抱きしめる。「トンビがタカ産んだ~それともわたしは元々鷹だったりして!良かったね!」と
あまり泣かない美智子まで泣いていた。あゆみも泣いていた・・・みんなで喜びあった!!
「パパ!ママ!ありがとう!これから名医目指してかんばりま~す」
あゆみはすぐに佐々木に連絡!「佐々木さん!合格しました!ドクターPOSTのおかげです!
これからはあゆみは 名医目指してがんばりますので今後ともよろしくお願いいたします。」
すると佐々木が「こちらこそ宜しく! 応援してるよこの先もずっと・・・本当に良かったね!お互い頑張ろう!」
そして次々とお祝いのメールや 電話がかかってくる・・・。
まだ限られた人にしか連絡してないのに・・・と不思議に思っていると・・・ 美智子が電話をかけまくっていた!
娘を自慢したいばっかりで普段連絡しない方々にも自慢げに連絡している・・・。
「ママ~いい加減にしてよ!全く品が無いんだから!お祝いは強制するものではありません!やめて~」とあゆみ。
嬉しかった本当に嬉しかったでもまだスタート地点に立ったばかり!それよりあゆみは早くアノヨンに会いたかった。
そしてその夜「あゆみはん~あゆみはん~また1つハードル越えはったな!あっぱれあっぱれ!」とアノヨン登場。
「アノヨン試験問題の・・・」とあゆみ。
「あれはたまたまや!あゆみはんが頑張った証や!たまたま予想が合ってた だけや気にしたらアカンで~ホンマの試練はこれからや~やっとこれからスタートするんや! わてかて疲れるさかいまた~」とすぐに気配が消えていた・・・。
あゆみはその夜“たまたま”たまたまや!と 言い聞かせながら寝付いたのであった・・・。