第六章 夢の架け橋 ④
何もかもがあゆみにとっては挑戦だった!たとえアノヨンの力を借りていたとしても筑豊大学医学部に合格したのだ。
晴れやかだった!これからはあゆみ自身が医師を目指して突き進むだけである!
あゆみは久しぶりに明美と春美に喫茶店宮ノ上ゲンキで会うことにした。
「久しぶり~みんな元気~」とあゆみ。「すごいすごい!医学部合格なんて~私達も鼻が高いわ~」と春美。
「ほんとう信じられない~がんばったね!あゆみ!うれしい!」と明美。そして、1番驚きを隠せなかったのは
ゲンキ印のマスターである。「本当にがんばったね!みんな久しぶりに会ったら急に大人になったね!今日は何でも
マスターのおごり!おごり!」。「やったね!筑穗牛のスペシャルバーガー3つ~それとポテトフライも~
マンゴーラッシーなんか飲んじゃおう!みんなもいかが~?」とあゆみ。「医学部合格してもあゆみはあゆみだね!
安心した~三美三将輝き隊!復活祭始まり~」と春美。「何かワクワクするよね・・・」と控えめの明美。
「今ねパパが大きなプロジェクト考えてるのよ!それがアホみたいにデカすぎて実現するのか
しないのかわからないけど、もう少し現実味を帯びてきたら報告しまーす!」とあゆみ。
「気になる!気になる!」と春美。「何か楽しみ・・・」と明美。とそこに「お待たせ~今日は特別に
パテ特大にしといたから~」と、ただでさえ”大きなハンバーガー”がフードファイター御用達のようなハンバーガー
になっていた。「いただきまーす!」とかぶりつくあゆみ。続いて春美!そしてなにやらフォークと
ナイフで切り始めた明美。あゆみと春美は上品な食べ方では無かったがなぜか清々しかった。
そして三人とも輝いて見えた・・・。
その頃、浩吉はメーテル女史と共に立花雪道の口添えで大友邸で大友宗子に会っていた。
立花は浩吉のカバン屋(宝石屋)仲間で大友宗子は立花の1番の顧客だった。浩吉は口が営業上がりでお金持ちの
くすぐるツボを心得ていた。浩吉は「国際的なプロジェクトにぜひ貢献していただきたい!」とあえてグローバル
プロジェクトであることを強調した。それはメーテル女史にも配慮しキリシタンである大友にも響く一言だった。
浩吉にはなぜか”すごいプロジェクトになる!”という確信があった。そして花の井ホテルの
横に広がる別府湾を見渡せる山の寄付を頼み込む。プロジェクトの詳細の話をかなり
盛ってしまったが・・・浩吉には自信があった!浩吉は立花から大友が”山を手放したい”
と言う愚痴を聞いていた・・・寄付によって邪魔な山を手放し世間いや世界から賞賛される
正に一石二鳥なのである。「もし寄付されれば永遠に世間いや世界から賞賛されるでしょう!
またそれを実現するために世界に発信いたします!」と浩吉は返事をすぐ求めず次の地固めを考えていた。
浩吉・メーテル女史・立花と共に丁重に挨拶をして一路三人は大分空港から東京へ。そして帝都ホテルへ。
そこにはいつも”カイ”(宝石裏取引会)に集まる”カバン屋”(宝石の逸品物ばかりを取り扱うアングラの宝石屋)
20名宝石デザイナー蜂須賀美咲に美樹。一堂に会していた・・・。浩吉が杖をゆっくりと使いながら壇上へ
「みんな!私はみなさんと一緒に長い間宝石のエキスパートとして生計を立ててきました・・・ところが去年突然倒れ
生死の境をさまよいました・・・そして優秀な医療チームに助けられ今は杖1本で歩けるまでになりました・・・
みんなも私と同じ世代いつ病に襲われてもおかしくない年頃・・・。そこで私からお願いがあります・・・
私みたいにいい加減に生きてきた人間が皆様にお願いするのも大変申し訳なく思いますが・・・。
今我々が考えているプロジェクトにぜひ協力賛同してもらい助けていただきたい」と浩吉は切り出した・・・。
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