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最終章 先駆者の道①

あゆみが筑豊大学医学部に在学6年が経っていた・・・。すっかり医学生としての風格も・・・

何より母美智子に似て皆が振り返る程の美人になっていた。白衣がまたよく似合っていた。

「パパ!別府の医療リゾートホテルは進んでるの?」とあゆみ。

「ああ~もちろん順調に進んでるよ!何せ世界に名の知れたゼネコン伊達建設だからあゆちゃんが医者になるまでには必ずできあがるし、資金もメーテル女史

以外に様々な企業から資金援助が有り当初の予定より更に素晴らしい医療リゾートホテルができあがるんだ!

パパも狐につままれたような気分だよ・・・今では自分が病で倒れて色んな大切な事に気づいたよ・・・」と

またまた例によって例のごとく涙ぐむ・・・浩吉。

「よかったじゃない!私も順調!この勢いで一気に国家試験にも合格してみせるわ!

ところでパパが温めてきた宝神殿はどうなったの?」とあゆみ。

「よくぞ聞いてくれたね!こちらも順調!カバン屋仲間はパパが思っていた以上に宝石の

コレクションがすごくて、正直驚いていて世界中が震撼するほどの品揃えまさに

未だかつてないほどいやもう二度と現れないであろう宝石コレクションだと思う!

宝石の髄まで知り尽くしたパパが楽しみなんだからみんないや世界中の人が驚く

ことになると思うよ!」と誇らしげに浩吉。

「そうなんだ・・・パパが倒れた時はお先真っ暗だったのにね・・・

まさに災い転じて福となす!かもね」とあゆみ。宝神殿は、すでに出来上がりつつあった。

甲賀建設がセキュリティーや宝石のコレクションに合わせて展示室には気を遣っていた。

より近くで中には手で宝石に触れる事ができたり、

身につけられる演出。今回は全てが逸品物まさに宝石屋でも目に触れたことのないようなものばかり・・・

気合いの入れ方もかかる金額も桁違いだったが予算も豊富に頂いていた。浩吉はあゆみの医師免許取得に会わせて竣工。

浩吉はアバウトな生き方をしてきたが今回のプロジェクトは緻密だった。

2年間研修医として筑豊大学病院にて従事。

あゆみが26歳の時に医療リゾートホテル竣工。浩吉は考えていた。

更には宝神殿に関してはパワースポットになるべく鳥居や宝石を祀る神殿も構築。

警備は伊賀警備の子会社KUNOICHIに頼むことにした。

巫女の格好で有りながら防犯にも対処できる優れた女性だけの警備会社である。

一方、最高の研究設備やリゾートホテルに住みながら研究が出来るとあって。

京阪大学の山仲教授はもちろん、海外に流出していた優秀な医者や研究者が次々と窓口の

ドクターPOSTの面々に相談が寄せられていた。外枠が最高でもやはり中身も伴わないと・・・。

“それでこそ最高の医療リゾートホテルなんや”と浩吉はつぶやいた。

「あゆみはん~久しぶり~」とアノヨンだ。

「アノヨンどうしてたん?心配したんよ~最近出てこないから・・・」とあゆみ。

「あゆみはんの夢が叶えば叶うほどわては弱ってしまいますねん・・・うれしいことやねんけどな~」とアノヨン。

「それってこのままだと心の支えだったアノヨンはどうなるの?」とあゆみ。

「まあ~そうやな・・・いつか消えてまうわな・・・わては元々成仏できへんで、あゆみはんと話してますねん・・・

あゆみはんいや豊臣家が夢かなえた瞬間消えてまうと思うで・・・」とアノヨン。「

いつも出てこんでもええから・・・お願い私を支えてくれたアノヨンがいなくなるなんて考えられへん」と

あゆみは声を詰まらせた。

「ええからええからみんな幸せに成れたら・・・ええんとちゃうか!」と

アノヨンも複雑な思いなのか投げつけるように

応えた。

「ホンマはこんなに長いこと留まらせてはもらえへんで~延長延長でここまで来たんや。

ホンマはあゆみはんが医学部合格がタイムリミットやったんや・・・わてかて消えとうないで~

せめて盆と正月くらいは顔出したいで~

そういうわけにはいかんみたいや・・・悪いの~あゆみはん・・・じゃそろそろ行くで~」。

「待って~待って!アノヨン!まだ私の夢は叶ってないから!聴いてる?アノヨン!アノヨン!」と

あゆみの声が暗闇に響いていた・・・。

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