第四章 未来に向けて⑤
4月1日・・・今年はまだ鮮やかな桜が残っていた!快晴!暖かな春の風!清々しい朝だった。
あゆみは朝5時から苦手な物理の勉強をしていた・・・
と言うよりとにかく参考書を開いていた・・・。
あゆみは国語・地理・歴史・英語は得意だったが、理数系はからっきしダメだった。
何もかもが“ちんぷんかんぷん”でどこから手を付けて良いのか解らなかった。
あゆみは幼少の頃から浩吉からいつものように聞かされていた「あゆちゃん“世の中カネとコネ”さえあれば
大丈夫!好きなことだけやれば良いんだよ」が口癖だった・・・。であゆみも好きな事だけやって来たのである。
しかし浩一郎は「あゆみちゃん“嫌いな事から始めて好きなことは後回しにするんだよ”」ってたまに会うと
あゆみに言っていた。美智子は、「あゆちゃん“人生苦しくなった時だけ人の倍頑張れば良いそれ以外は楽しい
事だけすれば良いのよ」とあゆみに話していた。まさに三者三様だったが現実はもう目の前・・・
確かに筑豊大学医学部はカネとコネで入れるかも?なんてパパ流に!と思ったり・・・
浩一郎兄さんの言う通り嫌いな事から頑張ってればよかった・・・とか・・・。
でも今はまさにママが言ってた苦しい時!人の倍がんばらないと!だよね・・・。
と思いつつまだあゆみの浪人生活は悶々としていた。
そんな日の夜アノヨンが・・・
「あゆみはん!何悩んでますねん!そんなヒマあらへんで~。確かに筑豊大学医学部はカネとコネでなんとかなるで!
でもそれじゃアカンのや!しっかり基礎から学びや~じゃないとあゆみはんが後々苦労することになるで~。
さかい、ドクターPOSTの協力が必須条件や!まず浩一郎はんに言ってすぐ1,110万円用意してもらうんや。
佐々木はん所は、ぞろ目勘定やさかい!それをドクターPOSTに渡して専属で家庭教師をやってもらうんや!
物理・化学・数学この3科目を徹底的に勉強や!浩吉はんの付き添いもできて一石二鳥や!これからは
豊臣家の嫌いな努力と忍耐や~頼んだで~あゆみは~ん」。するとあゆみが
「わかったわ!アノヨンすぐに浩一郎兄さんに言って現金を手配してもらうわ!他に準備する事はないの?」
「そやな・・・あと武田はんが加わったことやしあと1,110万用意してもらわなアカンな!2,220万や!
今使う金は生きた金や!後で何倍にも成って帰ってくるで~ それにあゆみはんが将来にも
役立ってくれる存在だから大事にせなアカンで~」とアノヨン。
「私もドクターPOSTとは強い絆を感じてるわ!私いや豊臣家にとっても必要な存在!勉強して医者になって
きっとあゆみ流の医療院を構築するわ!うんうん・・・」とベッドでうなずくあゆみ。
「そうや!その意気やで~!でも現実は厳しいもんやで~これから心折れそうになることもあると思うさかい
くじけず、めげずにがんばりや~いつもわてがついとりま!ほな自分を信じて!さいなら~」
とアノヨンはいつものようにす~と気配が消えていた・・・。
あゆみは悶々とした気持ちが消え、大きな目標に向かって走り出すのであった・・・。