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第四章 ​未来に向けて⑥

 季節はあゆみの嫌いな梅雨の時期に突入していた・・・。

ここに来てやっと化学・物理・数学を理解し、問題の意味が理解出来るようになっていた。

文系科目みたいに丸暗記でOK~って訳にはいかないのである。実はあゆみ!丸暗記は得意だが応用力は大の苦手!

だから理数系はからっきしダメだった。しかしながら強力な家庭教師陣(ドクターPOST)の指導で、

徐々に問題も解けるようになっていた。スマホいじりのゲームも辞め,すべて学業に専念していた。

そんなある日いつものように浩吉の病室へ行くと何と父浩吉が、佐々木の支え無しに杖だけで歩いていた。

 そして浩吉が「今はリハビリが楽しい、最初佐々木君が鬼に見えたが最近は神~に見えるよ」すると

 佐々木が「豊臣様の努力と忍耐の結果ですよ!まさに諦めない気持ちがここまで回復された要因です!

「パパ~努力と忍耐!これからは豊臣家の家訓にするわ~私もパパには負けられない!

  頑張りま~す!さぁ!佐々木先生今日は昨日の続きやるわよ~」とあゆみ。

  あゆちゃん!今日は抜き打ちテストをやろうと思っています。この問題を解いてみて・・・」と

 

佐々木が自作の問題用紙をあゆみに渡す。とあゆみが「ムリ!ムリ!ムリ~」と連呼する。すると佐々木

「今のあゆちゃんのレベルにあった問題だから問題はそれぞれの教科2問ずつ計6問!解いてみて・・・」と佐々木。

するとしぶしぶ問題用紙を受け取り考え始めるあゆみ・・・。なんとあゆみはその問題をスラスラと解いて見せた!

「なんだ~簡単じゃぁ~ん楽勝楽勝~」とあゆみ。佐々木が答え合わせするとすべて合っていた。

「合格!合格!」やたら喜ぶ佐々木に対してあゆみは、どや顔で「もう簡単過ぎて正直ガッカリ!

もう少し骨のある問題期待してたのに」とムリムリを連呼してたことを忘れ、まるで大学入試に

合格したような自信に満ちあふれていた。「ずいぶん理解出来るようになったね・・・

でもまだ合格にはほど遠いから勘違いしちゃダメだよ」と佐々木に釘を刺された。

「そうでしょう!そうでしょうね~私もそうだと思ったわ!」とあゆみ。

「とにかくあゆちゃんも進化!パパも進化!言うこと無し!まだまだ、ぎこちないけど歩ける・・・話せる・・・

当たり前だったことが、こんなに感謝できるなんて・・・半年前の自分からは想像つかないよ。

佐々木君達には感謝しかないね」と浩吉。「まだまだお二人とも通過点ですよ!これからがホントの正念場!

だからこれまで、いやこれまで以上頑張ってくださいね!よろしくお願いします」と佐々木。

 

そこに「パパがどうしたの?歩けるの?すごいじゃない!やっぱ高いだけあるわ~」と相変わらず空気の読めない

美智子が買い物帰りに浩吉の病室に。

「ママ!佐々木さんに失礼じゃない!お金払えば治るわけじゃ無いと思うし、寄り添う気持ちや

誠心誠意尽くしてるから」とあゆみ。「美智子!佐々木さんに謝りなさい!」と浩吉。としぶしぶ美智子が

「すいませんね。育ちが悪いもんで・・・」すると佐々木が「介護保険外のこのリハビリをもっとリーズナブルに

出来ればもっと多くの方が歩けて話せるようになると思ってます。頂いたお金はそのための礎(いしずえ)に

しようと思ってます。何卒ご理解いただきますようお願いいたします。」。

「わかったよ・・・君たちは偉いな~私利私欲のために生きてきた私が恥ずかしいよ・・・今後ともよろしく!」と

涙もろい浩吉が泣いていた・・・。

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