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第六章 ​夢の架け橋 ①

「あゆみはん~これからが本番やで~まず1番は受験勉強や!そして2番目浩吉はんの宝石の掘り起こしや

掘り起こしたらメーテルはんに全部差し出すんや!そして総合病院の話持ちかけるんや!浩吉はんに頼んでな!

3番目は大友宗子や!土地を大分県内に腐るほど持ってますねん!花の井ホテルにほど近い土地を寄付させるで~

やり方はあゆみはんが大学受かってからで十分間に合うさかい・・・。その後のことはわてが段取りするさかい

心配せんでええで~とりあえず今日はここまでや~しっかり勉強してや~わての力頼ったらアカンで~あゆみはんの

夢はわての夢なんや~ほな頼んだで~」といつものようにアノヨンの気配が消えていた。

あゆみにはただただアノヨンに言われるがまま突き進むしかないと強く思っていた。

そして退院して間もない昼間・・・そこには浩吉指導の下、石田・浩一郎の手にスコップが・・・

「もう少し右・・・2歩前そこを少しずつ掘ってくれゆっくりそうそう」石田・浩一郎は

スコップで掘り進める。「ゆっくりゆっくりそしたらコンクリートに当たるだろ!それを

今度は電動ハンマーで壊してくれ慎重に少しずつそんなに厚くないから」二人は言われるまま黙々と掘り続ける

「そしたら結構大きな木箱に当たるがそれはいわゆるフェイク・・・」と浩吉の言葉に二人とも唖然・・・

「それを掘り出してそこから左にその箱二個分正確にずらしてそこから掘って掘って掘り進むそしたらまた

コンクリートに当たるそしたらまた電動ハンマーで慎重に少しずつ壊してくれ・・・するとちょうど同じ大きさの

箱が出て来るそれがホンモノの宝石箱や・・・二人とも頑張って!悪いな・・・」と浩吉。二人は渋々作業を続ける。

そこへ「おふたりさん~何つまらなそうに作業してるのよ~私も手伝うから~私達の夢を掘り出しましょう!」と

あゆみが受験勉強の手を休めてスコップ片手にやって来た。あゆみが来るとどんな場でも明るくなる。

外は寒空ではあったが皆額に汗しながらフェイクの木箱に到達・・・

慎重に木箱を持ち上げ左に二個分正確にずらす。

そして三人は黙々と掘り続ける事6時間以上慎重に少しずつ壊していく・・・やがて大きな

木箱が姿を現す・・・。その頃には日が沈みあたりはすっかり暗くなっていたコンクリートや土を

慎重に払いのけて浩吉がまるでおもちゃの鍵と思える様な大きな鍵をあゆみに渡した大きな鍵に大きな南京錠・・・

そしてあゆみがゆっくり鍵を回す。「ガチャ・・・」と鈍い音と共に南京錠が解かれる・・・。

そして石田・浩一郎が大きな箱の両端をかけ声と共に開ける「イチ・ニのサン!」重い扉がゆっくり開いた。

中にタトウ紙らしき物に包まれた箱がギッシリ詰め込まれていた三人は軍手を白手袋に変え1つずつていねいに

運び出すさっきまで白い息を吐いていた三人が息を殺して静かにゆっくりまるで爆弾処理班みたいに

作業をこなしている・・・大きな包みや小さな包み色んな大きさの包みが次から次へと運び出される・・・

誰一人話す事無くその作業はたんたんと進められた・・・アノ元気なあゆみでさえ息を殺して作業を続けた・・・。

そして全ての包みを運び終えるとやっと三人に笑顔が戻った「やったね~みんな~」みんな控えめながら小さな

ガッツポーズをして様々な包みを奥の部屋へ移し終える頃には夜中の12時を過ぎていた。

みな精神的にも肉体的にも疲れ果てていた・・・。浩吉が「みんなありがとう!」との言葉を聞くやいなやすぐに皆

寝床に就いた・・・。あゆみだけは浩吉を部屋に送った後寝付けそうもなかった・・・お風呂に入りボーと何も

考えずにただただ湯舟に浸った・・・。ボーと何分経っただろうか「勉強しなきゃ!」突然あゆみがお風呂を飛び出し

勉強机に向かった・・・。「あゆみはん~無理は禁物やで~焦りは逆効果や!あゆみはんにはわてがついてる

さかい心配せんでええで~とりあえず今日は休んでまた明日や~千里の道も一歩からて言うさかい・・・

おやすみ~わてもがんばるさかい・・・」とすーっとアノヨンの気配が消えていた。

「1歩1歩夢に近づいていけば良いんだ!そう焦ったらダメよ!おやすみ~私の夢~

おやすみ~みんなの夢~」あゆみは不安もあったが幸せな気持ちでいっぱいだった・・・。

 

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